兆候

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幹は手が掛からない。 大人しい。 泣くのはミルクとオムツ。 美月が赤ちゃん返りを起こして大変だったから助かった。 三ヶ月後には美月そっくりのくりくり垂れ目の顔に成った。 それでも旦那は幹に対して余り関心は無かった。 元々、女の子が欲しかったから仕方ない。 幹はすくすく育っては居るけど、首が据わりが遅く這いずりするのも美月より二ヶ月遅かった。 幹は背中で這いずり移動して頭を壁にぶつける。 自分からぶつけに行く。 検診で相談をした。 未だはっきりとした事はと言葉を濁された。 寝返り、お座りも、ハイハイも…全てが遅かった。 旦那は美月と比べる。 一歳に成っても歩かない、一言も喋らない。 頭をぶつけに行く幹に対して冷たかった。 幹は自ずと旦那には近付かなくなった。 美月を膝に乗せても、幹を乗せた事は無い。 抱っこだってそう。 抱っこしたのは産まれた日。 それだけ。 旦那に聞いた。 何故、幹に冷たいのか。 旦那の答えは…できが悪いからだ。 その一言だった。 頭に来た。 喧嘩に成った。 初めての喧嘩だった。 旦那は、俺の子じゃ無い。要らない。 そう言った。 近くに住む旦那の親にもその事を伝えた。 悪い人達では無い。 好い人達。 でも、何も期待しない方が良いと直ぐに悟った。 旦那の親。 そう育てたのはその両親だからだ。
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