僕とタローさんの日常

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「あ~!やっぱりインタビュー全部カットされてる」 僕は仕事前の時間で、楽しみにしていた地元の新聞に目を通していました。 小さなスペースですが、僕の店を紹介した記事が載る事になっていたのです。 最近、お客さんの口コミやらで少し人気が出て来たからなんでしょう。 それか、よっぽど空いたスペースを埋めるのに苦労してたからですかね。 どっちにせよ、店の良い宣伝になるので僕は有難くお受けしたんです。 ですが、インタビューの部分はさっくりとカットされていました。 「もう、タローさんのせいですよ。あんな下世話な挨拶を初対面の記者さんにかましちゃうんだから」 タローさんは、窓の近くのお気に入りの日向でぬくぬくしてたのを邪魔されて、少しだけ不機嫌そうです。 『何言ってんだか。全部坊ちゃんのせいだろうよ。あんな馬鹿正直に話したって、信じてもらえない事くらい解るだろうに』 そう言って、面倒くさそうに僕の側に来て、一緒に記事に目を通し始めました。 『……どれどれ。店主さんは犬の気持ちが解る優しい方で、熱い気持ちを照れ隠しなのか、冗談まじりに語って下さいました。ユーモアのセンスも抜群ですね!そんな店主さんですが~か。ちゃんと褒めてくれてるじゃねーか。何が不満なんだい、坊ちゃん』
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