僕とタローさんの日常

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タローさんは僕の横にチョンとお座りしました。 「タローさんが言ったんじゃないですか。もっと自分を理解してくれる人を増やしていかないと駄目だって」 『その努力があれかい?はぁ。どこまで不器用な人間なんだい、坊ちゃんは』 タローさんは前足を片方出して、記事の部分に肉きゅうを乗せました。 『こんなメディア使ったって、坊ちゃんを理解してくれる人間は増えないんだよ。ちゃんと向き合って、ぶつかりあって、絆ってやつを深めてだなぁ。俺や他の犬とは出来るのに、何で人間相手だと……』 タローさんの耳がピクリと動きました。 『あぁ、もうこんな時間じゃねーか。ほら、坊ちゃん。客が来るぜ。支度しな』 正直助かりました。 タローさんは、熱くなると話が長いんです。 僕の生き方についてだと特にです。 死んだ親父にそっくりで困ります。 タローさんは、元々は親父の愛犬でしたからね。
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