僕とタローさんの日常

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「こんにちはー!」 お客様が入って来ました。 流石はタローさんですね。 タローさんは、13歳。 もう老犬と言われる年頃ですが、聴覚、嗅覚は若い頃となんら変わりません。 いつもタローさんには助けられます。 僕ときたら、一度集中し出すとお客様が来ていても気付きませんから。 「こんにちは。あ、安部さんお久しぶりですね」 いらっしゃったのは店から15分位歩いた先にお住まいの安部さんの奥さんでした。 恰幅の良い体系に明るい性格で、もうすぐ60歳になるのにアクティブです。 『こんにちは、先生!』 元気よく挨拶をしてくれたのは、安部さんの家のトイ・プードルのバッハ君。 「はい、こんにちは。バッハ君。今日も元気なご挨拶ですね」 バッハ君は僕に撫でられて、嬉しそうに尻尾を振っています。 「今日はどうされました?」 「先生、見て下さいよ!バッハの体!可哀想に十円ハゲが出来てるのよ」 安部さんが指差している場所を確認してみると、確かに小さな丸いハゲが出来ていました。
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