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僕はバッハ君を診察台に乗せました。
もちろん、診察する訳ではありません。少しでも目線を近付けて、話しやすくする為です。
バッハ君はうちの常連さんなので、慣れたものです。
「バッハ君、体調悪いですか?」
僕は単刀直入に質問します。
『ううん。僕元気だよ』
バッハ君は僕に元気だとアピールする為に、診察台の上でクルクル回って見せます。
「それは良かった。じゃあ、いつもより体が痒かったりはしませんか?」
体の体調に影響する病気でないとすると、皮膚病の可能性もあります。
『ううん、お耳の後ろは痒かったりするけど、いつもと変わらないよ』
僕は念のためにバッハ君の耳の周辺を見てみました。特に異常はありません。
「では、最近すっごーく嫌だった事はありませんでしたか?」
これには凄い勢いで即答してくれました。
『あった!僕、本当にショックで、大好きなおやつも食べれなかったの!』
大当たりです。
動物の円形脱毛症は、皮膚病から来るものが多いですが、人間の様にストレスによる物もありますからね。
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