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そして、挙式でお世話になった牧師さんから付箋を受け取ると、チャペルを去る部長が映り、スクリーンが暗くなった。 毎日忙しくしてたのに、いつの間にこんな用意をしてくれていたの? 親しくしてくれたみんなからの祝福が嬉しくて……止まらなくなった涙の粒が大きくなって次々に零れ、赤いドレスを濡らしていく。 再びスクリーンが明るくなって映し出されたのは、扉の向こうに立つ愛しい人の後ろ姿。 勢いよく開けられた正面から入って来た部長は、透明の風船を持って歩いてくる。 介添人に手を添えられ、感動に震えながら立ち上がった私はテーブルの前に進んだ。 「彩星の笑顔を、これからもたくさん見つけてあげるから。幸せになろうね。」 「はい……これからもよろしくお願いします。」 渡された風船越しに詰まったたくさんの付箋を見たら、みんなからのメッセージが書いてあって、また私は泣いてしまって。 部長が白いハンカチでそっと粒を拾って、優しく微笑んでくれた。
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