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長い階段を下った先にあるのは、ライトに照らされた芝生の茂る、本格的な演習場。
ハルト『……すげぇ。』
思わず感嘆の声漏らすも束の間。
『来たか、待ちくたびれたぞ。』
『もうちょっと早く来た方が良かったのにぃ…そんなに新鮮だったかしらぁ…?』
二人の試験官と思わしき男女がハルトを迎える。
ハルト『す、すみません…ちょっと、見慣れない物ばかりでしたので…。』
『ふん、まあ良い…ここに来た理由は、理解しているな。』
ハルト『……はい。』
『ここで貴方の試験の相手をする、メノーアよぉ…宜しくねえ。』
長く黒い長髪を揺らす一人の試験官、泣きほくろが印象的な妙齢の美女。
『同じく、イルネス。』
筋骨隆々と言って良い程の身体付きに、如何にもな顔付き。正に試験官の鏡と言って良いくらいの試験官。
ハルト『宜しくお願いします。』
イルネス『ここでは私とメノーアで二つの試験を受けて貰う、そして俺は貴様の型を見る。』
ハルト『…型を…?…それが試験ですか?』
イルネス『そうだ。剣を学ぶ者、例え我流であれ個人の型が出来上がるものだ、それを俺が見てやる、実戦形式でな』
ハルト『は、はぁ…。』
イルネス『安心しろ、型どうであれ何も言わん。問題は――』
メノーア『私の試験ねえ、私の試験は…私に攻撃を一回でも当てること…制限時間は一時間よぉ…。』
ハルト『え?一回で、良いんですか…?』
メノーア『ええ…たった、そう…たった一回で良いわよぉ…?』
ハルト『………』
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