二章『最初の試練と試験』

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ハルト『ッ――……せぁッ!』 腕ごと打ち上げられ、後方へよろめくも踏み止まり、踏み込みからの身体を回転し、横一閃。 ギィンッ! 再びの金属音、然し。 イルネス『まだまだ本気を出せてないだろう…リラックスしろ。』 ハルト『ッ――……ふっ!』 小さい金属音と共に互いの剣が離別、間髪無しにハルトは剣を振るい、この場の間合いを自分の物にする。 ハルト『うぁッ!』 剣閃が見える程に段々とハルトの剣を振るう速さが増して行く。 成る程…面白い小僧だ。 型は我流、然し面白い動作をする…。 イルネス『どうした!そんなものか!』 ハルト『まだまだッ…!』 斬りと突きの混合動作、縦横無尽に、然し多少の隙もある…その変わりに休み無い連撃でイルネスに斬り掛かる。 イルネス『ふ、ぬ…っ…良しっ、それまで!』 ぴたり、とハルトの腕が止まる。 ハルト『…はぁ…ッはぁ…!ありがとう、ございました…!』 息切れながらも、剣を鞘へと納め頭を下げる。 イルネス『うむ…中々良い太刀筋だ…が…まだ未熟な部分もある。しかし入校生としては十分過ぎる程の実力だ。』 ハルト『ほ、本当ですか…?』 イルネス『ああ…それは我流だろう?どこの流派も学ばすそこまで実力を付けたのは褒めるべき事だ。』 ハルト『~っ!ありがとうございます!』 イルネス『うむ…次はメノーアの試験だ。最初に言っておく。』 ハルト『は、はい……。』 イルネス『…奴は最後に必ず攻撃を当てさせてくれる。しかし、それ以外は…当てられんだろう。』 ハルト『…え?』 イルネス『…頑張るんだな。なに、落ちはしないさ。』 ハルト『………』 唐突の言葉に唖然とする一方、時間は待ってくれはしない。 メノーア『さあ、次は私の番よぉ…頑張って、当てて頂戴なぁ…?』 メノーアは呑気にも軽装な装備でハルトの目の前に立つ。 ハルト『…そんな装備で、大丈夫ですか?思いっきりやるから、怪我しても知りませんよ。』 挑発を入れる。 メノーア『大丈夫よぉ…だって――』 メノーア『時間ギリギリじゃなきゃ、当てられないんだからぁ…。』 ハルト『っ…!』 刹那的に恐怖を感じさせる言葉、そして――愉悦に浸るような表情。 …駄目だ、挑発したのに挑発し返されてる。 冷静に、当てに行こう…。 剣をメノーアに向け、軽く差し出すように構える。 …行動を読ませちゃ駄目だ、慎重且つ…大胆に――。
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