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ハルト『…っ!』
次の動作を悟られぬよう、右往左往、ジグザグに駆けだす。
メノーア『………』
対する彼女は突っ立ったままで、ハルトの動きを視界に映したまま。
舐められてるわけじゃない…絶対的な自信があるからだ…なら!
ハルト『っ…はッ!』
彼女の数歩手前、剣を振るうのではなく――彼女に向けての投擲。
ヒュゥンッ!
避けるなら、動きを予想して…!
ハルト『!?』
ふと、先程まで自身の目の前、視界に映していた彼女の姿が消える。
ギィンッ!
投擲した剣が無情にも金属音と共に、壁に突き刺さる。
ハルト『…え?』
周りに視線を走らせ見回す――そして彼の背後。
メノーア『ふふっ……。』
ハルト『………』
そんな、あの距離で、剣を避けるだけじゃなく…俺の背後に…?
メノーア『どう避けたか分からないって顔をしてるわねぇ…。』
ハルト『……っ。』
メノーア『でも、残念…今の貴方じゃあまだ理解も行動も出来ないわぁ…。』
何かを孕んだような、意味深な言葉と笑みをハルトに向ける。
ハルト『…そんなこと…。』
メノーア『理解出来るのかしらぁ…?』
彼女が再び視界から消える。
そして、声は彼の耳元、声と息が吹き掛かるような至近距離。
ハルト『っ!?』
慌てて距離を取り、彼女へと向き直る。
そんな…いったい、何が起きてるんだ…。
メノーア『これは…高速移動技術、“歩法”と言う技。』
ハルト『ほ、ほう…?』
メノーア『…まだ、貴方には早いわぁ…だから、今の貴方では私の動きは捉えられないわぁ…。』
ハルト『…ッ…やってみなきゃ、分からないよッ!』
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