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二章『最初の試練と試験』
世界の中心都市『ブレイブガーデン』通称勇気ある者の集う街。
世界中から勇者に成る為にここへと来る人が絶えない。理由は様々――富、名声、力、様々な思惑の下に人々が集う。
何故この街があるか、元を辿るべくもなく、理由は『魔物』の存在。
圧倒的な数、そして邪悪と言える容貌に人々は恐れおののいた…人々は身を守る為に、魔物に対抗出来る力を付ける為に…ここに集った…そして、自然に作られたのがこの街である。
そして、若者――ハルトも勇者に成るべくして、この街の勇者養成学校へと、足を運んだ。
ハルト『……でけぇ…。』
街の中心、勇者養成学校の門前で立ち尽くすハルト。それも当然だ、この施設…四方数十キロに渡り建物と施設が連なる学校なのだから。
ハルト『…意気込んで来たは良いが…とりあえず、入校手続き?だよな……お邪魔しまーす…。』
ギィィ…。
重く堅牢な門を押して、敷地内へと入る――と、
ヂリリリリリッ!!
ハルト『!?』
唐突に鳴り響く、サイレン。
『侵入者発見、侵入者発見、ただち捕縛せよ。』
そう、ハルトは侵入者と警報センサーに誤認識されたようなのだ。
ハルト『ちょ、なにこれッ!?』
慌てふためく中でもサイレンは鳴り止まず、響き渡る――その時。
ヒュッ――!
右斜めより、ハルトに向けて目にも止まらぬ速さで飛躍する矢。
ハルト『ッ!?』
咄嗟の判断、腰に差した鞘に手を掛け、鉄製の両刃剣を振り抜き――
キィインッ!
矢を弾き落とす。
ハルト『な、何するんだよッ!誰だ!』
彼は叫ぶ、が…答えはなく、答える変わりに――
ヒュヒュッ!
続けて二矢――…先程よりも鋭い軌道を描き、彼に向けて射られる。
ハルト『なん、だよッ…。』
ハルトは声と共に後方へ飛び退く。
ピスピスッ!
鋭い軌道を描く二矢は彼の居た場所に無慈悲な音を立て、刺さる。
ハルト『侵入者じゃないっつぅの…ッ!?』
愚痴を垂れるハルト、それに対して返事をするかのように――…頭上より降り注ぐ雨のような、矢。
ハルト『なっ?!』
ハルトの言葉も虚しく慈悲無き無数の矢が、彼目掛けて降り注ぐ。
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