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ハルト『オレが何したって言うんだよッ……。』
文句を言いたくなるのも当たり前と言うべきか…ハルトは右へ勢いを付け飛び退くも――
シュ…ッ!
左脚太腿、僅か矢が掠める。
ハルト『ッ…危な…!いったいなんだって言うんだ…っ。』
矢の飛んで来た方向へと視線を向ける。
壁、窓ガラス、建物の屋上――矢が射られるような装置は無い。
じゃあ、どこから――…?
ハルト『とりあえず、ここから離れなきゃ…!』
学校内の入り口前の広場を人目を避けるかのように掛け抜けるハルト――…それを目で追う、校舎内に潜む複数の影。
『………』
『行ったか。』
『ねえ、本当にこんなことして良いのかしら。』
『さあな、何はともあれ、これは命令だしな。』
『それはそうだけど…。』
『…目標、中庭に移動中。どうする?』
『わかった…中庭に入ったら各通路を封鎖。逃げられなくなったら…そこに集中放火を浴びせてやれ。』
『…ラジャー。』
『ちょっ…何もそこまでッ…。』
『ダメだ、これは洗礼だ…と言うか、俺達もされただろう?だったら可愛がってやらねぇとな。』
『…丁度、休み。だから好き勝手に出来る。』
『アンタまで…っ…するなら勝手にしなさい、私は遠慮するわ。』
『んじゃあそこで見てろよ…多少、楽しめそうだしな。』
まだ若いと言える男は唇を僅か上げて不敵な笑みを浮かべる。
『勇者に成る為の洗礼だ――とくと味わって貰おうじゃん?』
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