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ハルト『はあ…はあ…。』
人気の無い長い通路を走る。
そろそろ大丈夫か…?
ハルト『は、っ…いったい、何なんだよ…誰も居ないし…訳分かんない…。』
通路の壁に背中を預け、乱れた息を整える。
何かが可笑しい――が、理由は分からない。
ハルト『くそ…これじゃあ、入校出来ない…何とかしなきゃ――』
ふと、ハルトは視線を来た道に映す。
コツ、コツ――。
聞こえるのは足音。
人?やったッ!――、これでこの状況から――
ハルト『……いや、違う。』
多分、これは――
ハルト『ッ…!』
ハルトは駆け出す。通路の先へ。勿論、足音の正体を察しての判断だ。
だが、しかし――
『……袋の鼠。』
通路に反響する少女の声。知らずに、彼は追い詰められる。
通路の先には開けた広場――花壇には花が植えられ、噴水とベンチも設置されている。
ハルト『…中庭、かな…。』
ハルトは一瞬、安堵の表情を浮かべるも途端に一変する。
ガラガラ!ガシャン!!
中庭から通路に通じる道が、堅牢な鋼で出来た門が落ちる事により封鎖される。
ハルト『え、あ…!?』
訳も分からずハルトは困惑する――そしてその遥か頭上。『ここまでだな、賊め…この学校に入ったことを後悔するんだな。』
『…後悔。』
『………』
ハルトは見上げる、高い時計塔の屋根に佇むいかにもな三人の姿を目に映す。
ハルト『ぞ、賊…!?ち、違っ…オレは…っ。』
『問題無用っ、潔く死ね!』
『死ね。』
『はぁ……何やってんだろ…。』
『良いからちょっとは乗れよ――よし、良いぞ…やれ、ノア。』
『ラジャー。』
ノアと呼ばれる少女、時計塔より弓を構え、携えた矢を放つ。
ノア『ディスパーションアロー。』
パァアンッ!
少女の声と共に、矢が破裂し、散る。
先程の雨のような矢が、再び彼目掛け空気を裂く音を響かせ降り注ぐ。
ハルト『ッ……!?』
どう、する…このままだと串刺しだぞ…っ。
ハルト『南無三っ…!』
ハルトは咄嗟に噴水に向けて駆ける。そして――
バチャアン!
カカカカッ!カッ!!
ハルトが噴水に飛び込むと同時、雨のような矢が中庭に降り注ぐ。
『……中々器用なことするじゃねえか。』
ノア『…ダメージの半減。』
『あれまともに食らったら流石に痛いわよ…。』
ハルトは噴水に飛び込み、矢より受けるダメージを半減――
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