二章『最初の試練と試験』

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ハルト『ぶっはぁッいってえッ…!』 背中に浅く刺さる一本の矢、ダメージは半減とならず。 『……もうちょっと器用に避けろよな。』 ノア『…前言撤回。』 『うわぁ…痛そう…。』 やった本人達は実に他人事らしき言葉。 ハルト『このッ…何するんだよっ!賊じゃないって言ってるだろっ!』 ハルトは剣を腰より引き抜き、応戦の構え。 『お?やっこさんやる気だぜ?』 ノア『……行ってきたら、戦ってみたいんじゃない。』 『ああ…そうだな…いっちょ――』 比較的長身の男は背中の鞘より、ハルトの持つ剣より遥か大きい大剣を引き抜き― 『先輩が、勇者の試練を与えてやろうかね。』 不敵に笑う。そして、時計塔の上より跳躍。 ハルト『な…飛んだ…っ!』 時計塔から中庭まで、約数十メートルあろう高さを飛び降り―― トンッ…! 軽々と着地。 『よぉ、泥棒さん――ちょーっとお兄さんと』 ブゥン…! 長身の男が大剣を彼の目の前に、風切り音を鳴らし、片手のみで振り下ろす。 『遊ぼーぜ?』 ハルト『ッ……。』 コイツ―…ここに居るってことは、学校の生徒…? だったら、マズい…勝てる訳が無いじゃん…。 ハルトの剣を持つ束が金属音を鳴らす、手の震えから来る音だ。 『おいおい…そう怯えんなよ…なあに、何もヤる訳じゃねえ…ちょっとお仕置きするだけだ。』 『さあ、来いよ…この勇者志願のバーチャ様がお相手してやる…光栄に思いな。』 ハルト『…っく……。』 震えが止まらない…コイツ―…絶対強いよ…。 こんなことになるなら…こんなところに来なきゃ良かっ――。 じゃなきゃ――…母さんの作るミルクティー…作って上げないよ。 ハルト『――るんだ。』 バーチャ『あん?』 ハルト『オレは…みんなの助けになって、母さんのミルクティーを…腹一杯飲むんだ…。』 ハルト『こんなところで…やられてたまるかよ…っ!』 ギリ… 剣を握る力が込められる。眼差しも、また然り。
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