二章『最初の試練と試験』

5/14
前へ
/132ページ
次へ
バーチャ『ハッ――ただのマザコン野郎かよ…こりゃ期待出来ねぇかも、なぁッ!』 バーチャは力強く一歩踏み出し、横薙ぎに、大剣を振るう。 ブォンッ! 風圧で空を斬る音が響く―― ハルト『お前に、何が分かるんだよッ…!』 ハルトは横薙ぎに払われる大剣を、 ギィインッ! 剣を逆袈裟に構え、横から薙がれる大剣を受け止める。 バーチャ『ただのマザコン野郎に構ってる暇ァなんかねえんだよッ!』 そのまま互いに一歩踏み出し、金属音の響く、鍔迫り合い。 ギギギギ…ッ! ハルト『なんだと…ッ…言ったな…っ!』 怒りも心頭のハルト、鍔迫り合いの最中、バーチャを後方へと力押し―― バーチャ『ぬ、ぅ……!』 コイツ―…何だ…! 押されるバーチャ、そしてハルト、勢い任せに押し出し、間髪無く、回し蹴り。 ドスッ…! バーチャ『う、ぉ……!?』 予期せぬ事に、大剣の切っ先を地面に落とし、前屈み――。 ハルト『ちょっとは、人の話を…!』 隙有りとばかりに目の前、身体に下に潜り込み。 ハルト『聞けよッ!!』 どごッ…! 飛び上がるバネのようにバーチャの顎目掛けての拳――それもアッパーブロー…クリーンヒット。 バーチャ『――ッ!?』 バーチャはそのまま、後ろへと倒れ、失神。 ハルト『…母さんを悪く言うからだ…。』 ハルトは僅か息を切らして気絶するバーチャを見下ろす―― ノア『そこまで。』 ふと、背後より聞こえるのは先程の三人の一人、小柄なノアと呼ばれる少女。 ハルト『…っ!』 ハルトは自身の背後を振り返る。 いつの間に――言葉を出そうとするもノアの声に遮られる。 ノア『…ごめんなさい、これは試練なの。』 ハルト『……試練?』 どういうことだ…ハルトは首を傾ける。 『これはね、言わば入校試練…と言っても試練なんてコロコロ変わるし、私は反対したんだけれどね。』 もう一人の赤髪の少女が二人の元に近寄る。 ハルト『試練って……え?』 『まあ、そう言うこと…にしても、中々やるじゃない。油断していたとは言え…バーチャを倒すなんて……。』 地面に倒れ気絶するバーチャの頬を遠慮無しにつねる赤髪の少女。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加