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ノア『…保健室に運ぶ、キリナ、お願い。』
キリナ『はいはい…っと。』
キリナと呼ばれた少女はおもむろに言葉を紡ぐ。
キリナ『か弱き者に一陣の風を――フロート。』
気絶するバーチャの身体がゆっくりと浮き上がる。
ハルト『…ま、魔法…?』
“魔法”または魔術と呼ばれる技法。魔法を使えるものは多くはなく、その使い勝手と戦闘に置ける多大な威力の功績は大きい、故に魔法使い、魔術士は剣士、戦士より優遇されている。
キリナ『…私はコイツを保健室に運んで来るから…そうね…どうする、ノア。』
ノア『…とりあえず、学園長室で待ってもらった方が良い。』
ハルト『え、じゃあ…この学校に入れるって。』
キリナ『いいえ、まだ試験が終わっていないわ。』
ハルト『し、試験って…さっき終わったんじゃ…。』
キリナ『あれは、試練。試験は別にあるのよ…そう簡単にこの学校には入れないわ…ま、精々頑張ってみたら?』
キリナはふん、と小さく鼻を鳴らす。
――感じの悪い女の子だなぁ…。
とは思っても口にはしない。
ノア『…学園長で待ってて。』
ハルト『あ、ああ…うん。』
…何か、ちょっと後悔してるかも…心の中で小さく。
―――――
ハルト『………』
学園長室を探すまで、少一時間掛かったことはハルトしか知らない。
やっとこさ、学園長室を見付けてうなだれる。
ハルト『…広過ぎだって、本当に』
―――――
ハルト『……ふう。』
…とりあえず、学園長とは話せたけれど…あの、試験って何だろう。
筆記?…いやいや、勇者になるのにマニュアル的な筆記を求める筈が無いし…。
学園長と話し。
『これから君には試験を受けて貰う。先ずはこの建物の地下に行くと良い。説明は別の者にして貰うからの。』
と、言われ、地下に続く薄暗い階段を下りている最中だ。
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