深夜の廃屋にて。

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 注げる愛情を持つ雨だけだ。  脳裏にあの子の笑顔が浮かんだ。  嗚呼、嗚呼、嗚呼。  ―――ねぇ、“愛”?  僕は今からこいつを落として殺すよ。  だってそれが君の望みで願いだったもんね。  妹想いの優しい優しい転校生。たったひと月の同級生。  愛。愛。愛。  ごめんね、愛。遅くなって。  ぎりり、と憎いそいつの頭を掴む僕の手に力が籠もった。  愛、愛。待ってて。待ってて? 「………っ!きみ、は……」 「煩い。黙って」  訊きたいことをこいつから訊いたら、すぐに君の願いを叶えるから。  ひとつは叶えてあげられないけれど、もうひとつは必ず、  必ず、叶えて見せるから―――
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