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カツカツカツ……と、チョークで黒板に文字を書いていく音が連続する。
「──よって、この術式を発動させるのに必要な魔力量は──」
可愛らしいソプラノボイスで喋っているのはサーシャ=レイラント。このクラス──一年C組の魔法基礎学を担当している女教師である。
ただし、その身長は百四十センチという小柄な体型と、保護欲を掻き立てる愛くるしい容姿によって、どの角度からも第二次性徴前の女の子にしか見えないという驚異の特徴を持つ。
実は、その年齢との余りの不釣り合いぶりに、生徒の間で『不老不死の魔法を完成させた』とか『実は人間ではなく精霊である』などの噂が囁かれているのだが、サーシャ本人は気付いていない。
「ここでこの公式を使えば、後はこの値を代入して──」
身長ゆえ足りない高さを補うため、椅子(折り畳み式。サーシャ持参)の上に立って板書を続けていく。
「っと。それでは皆さん。次の練習問題を──」
書き終えたサーシャは振り返った。
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