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「とはいえ、いざ探してみると全然やりたいこと思いつかなくてさ。まずは色んな奴の話聞いて参考にでもしよーかなと考えてる訳」
「なるほど。回りくどい気もするけど、方法としてはアリだな」
「そーゆーこと。そんで話を戻すけど、ワタルの理由を話してくれよ」
ハルクが促してくる。ふざけているようで、その眼差しは真剣で逃げを許さない。
ワタルは今一度振り返ってみた。自分が魔導士となった理由。剣を握るに至った出発点を。
それは、
“約束しよう”
──何のためだったか。
“二人だけの、秘密の約束”
「……」
「ワタル……?」
「ん?」
目の前でハルクが手を振っている。知らぬ間に随分と考え込んでいたらしい。
「言いたくないなら無理に言わなくてもいいぜ」
「いや、ちょっと思い出してただけ」
ハルクに見えない位置で無意識にシーツを握りしめながら、ワタルは答えを告げた。
「──自分が満足したい。それだけだよ」
口調はハルクと同じように、つまらなさそうだった。
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