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「……いや、まさかな」
浮わついた理由を考えてしまい、首を振って打ち消した。こんなことを口にしたら最後、消し炭にされるに違いない。
断ると後が死ぬほど面倒なので、ワタルは素直に目的地を変更した。自分の部屋の隣なので、手間的にも大したことはない。
五階についてシノンの部屋の前まで行き、インターホンを押す。
『遅い』
聞こえた声は常に輪を掛けて不機嫌だった。怒るでもなく、ただ坦々としているのが余計に怖い。
「えっと……どうしたんだ?」
『いいから入って。鍵は開けたから』
それで声は聞こえなくなった。ドアノブを捻り、ワタルは女の子の部屋という未知数の領域に足を踏み入れる。
途端。
「「「お疲れー!!!」」」
炸裂音の連続。宙を舞う紙吹雪。
「…………へ?」
頭が真っ白になる。驚くでもなく、口を開けているワタルに、
「おーおー。呆けてる呆けてる」
悪戯が成功した時のように笑うノエルを筆頭に、クラッカーを向けたクラスマッチのメンバーがいた。
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