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「スゲエぞワタル! 大金星だぜ!」
「ぐえっ。ちょ、タンマ……」
赤髪の少年ダイが、ワタルの首に腕を回して笑いかけてきた。まるで我が事のように喜び、そして何故か腕にどんどん力が入っていき首が締まる。
「その辺にしておきなさいダイ。ディフォート君死にそうよ」
「む。おお、悪いな」
そこにアイリスが割って入り軽くたしなめる。ダイが気づいた頃にはワタルの顔が青くなっていた。ゲホゲホと咳き込むワタルに、ヒスタが自分も何度も味わったぞという同情の視線を向けていた。
「というか、これ何してんの?」
「クラスマッチの祝勝会ですよ」
「ついでにちょっとしたサプライズも付けたぜ」
テーブルに皿とコップを並べるのはラーサーとレウス。それらを一通り終えると、レウスは歯を見せて笑った。
「火傷は大丈夫なのか?」
「おう。この通り完治したぜ」
レウスは腕を捲る。晒された腕は火傷の跡どころか傷ひとつ見当たらなかった。ワタルは保険医の腕に驚嘆しつつ、つい聞かなくてもよいことを聞いてしまった。
「……幻覚か何か見たか?」
「……死んだじいちゃんに会えたな。お前は?」
「……産まれて初めて幽体離脱を体験した気がする」
哀愁漂う男子二人は肩を抱き合って互いの生還を喜んだ。
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