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「はいはい、そこの男ども! 喋ってる暇あったら準備手伝ってよ!」
ノエルを筆頭に次々と食器やら料理を運ぶ女性陣から非難が飛んできた。 ワタル達も慌ててキッチンへ向かい準備を進める。
程無くして全ての用意が整うと、ゼルを含む十人は丸テーブルを囲んで飲み物を手に持った。
「では、乾杯の音頭を先生お願いします 」
「俺が? まあいいが……」
ゼルは少しだけ考え込んだ後、顔を上げた。透き通るような藍の瞳に、九人を順番に映していく。
「とりあえず試合は勝ったし、そこは誉めてやる。けど、内容としちゃ花丸とは言い難い。お前ら全員、今日の戦いで自分に足りないものがなんだか分かってるか?」
思い当たる節があるのか、苦い表情になるワタル達。それを見たゼルは満足そうに頷いて、
「ならその弱点をカバーできるように努力しろ。まだまだ若いんだから、今からならどうとでもなる」
コップを掲げる。担任は口元を緩め、
「ま、今日くらいは浮かれてもバチは当たらねえさ。学生らしく、迷惑にならない程度に騒ぎやがれ。──そんじゃ、乾杯」
「「「乾杯!!」」」
こうして、ささやかな祝勝会が幕を開けたのだった。
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