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「いやあ、微笑ましいですね。お二人で仲良く料理とは、まるで夫婦みたいです」
「「お前(アンタ)はちょっと黙ってろ!!」」
にやにやと笑いながら顔を出してきた金髪エルフに、反射的に雷と炎を撃つ。標的は慌てた様子もなく氷の壁を展開して防ぐと、キッチンに入ってきた。
「料理対決も結構ですが、そちらの鍋はそろそろ火を止めた方がいいのでは?」
ようやく気づいたワタルが、慌ててコンロのつまみを回す。
「ふむ。食材も残り少ないですし、対決は無理そうですよ」
「さも当然のように冷蔵庫の中を見るのはやめてもらえる。プライバシーの侵害よ」
「おや、何か見られて不味いものでもあるのですか? 例えば成人指定の本をしまってあるとか」
「ぶふっ!!」
「ええい! どこから突っ込めばいいのか分からないけど、とりあえず顔を赤くしているアンタは死ね!」
「百パーセントとばっちりじゃねーか! ってやめろ馬鹿! 部屋火事になる!」
振るわれる炎剣をすんでのところで屈んで避けた。下手人たるラーサーはさっさと逃亡している。顔を真っ赤に染めたシノンは反対の手に火球を生み出すと、惚れ惚れするほど綺麗なフォームでぶん投げた。
迫る炎を見て、回避を諦めたワタルは思う。
そういえば三ヶ月前にもこんなことあったな、と。
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