理由と変化

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冷や汗が滝のように流れるのを自覚しつつ、ワタルは恐る恐る口を開いた。 「期末テストが、五日後?」 「やはり忘れていましたか」 はぁ、とラーサーはため息をついた。この後の苦労を想像するように。 「魔法基礎学、社会学、魔工学、戦闘学。四つの科目を二日にかけて行います。……ちなみに、赤点を取ったら夏休みの半分近くが補習で潰れますよ」 無論範囲は今までの授業全てです、という付け加えが、追撃となってワタルの心に突き刺さる。既に心臓が縮みすぎで、潰れてしまいそうだ。 「で、でもよ! そんなん無理に決まってるだろ。たった五日でどうやって──」 「だからあたしたちは、クラスマッチと並行して勉強してなきゃならないの。そういう意味でも代表選手は厳しいの。文武両道って訳ね」 レウスの抗議に、ノエルが力の無い声で答えた。顔を青くするワタルとレウス。 「??」 ことの深刻さが分かっていないのか馬鹿(ダイ)は頭に疑問符を浮かべていた。 「…………」 レウスと顔を見合わせる。突如として現れた(自業自得)クラスマッチより遥かに高く険しい壁。これを突破する手段をアイコンタクトを使って意見をやり取りする。 ある結論に至った二人はラーサー、リナ、アイリスの勉強できる組に体ごと向かい合って、 「「勉強、教えてください」」 自らのプライドを捨て去り、 シンクロした動きで土下座した。
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