理由と変化

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扉の上から下までをびっしりと覆う紫色の魔文字(ルーン)の数々。円形の魔法陣が五つ、五角形の頂点に立つように並んでいた。 ライオットはその内の一つに触れる。 「我等は剣にして光。力を導く者なり」 短い解除ワード。魔法陣がほどけていく。連鎖するように残りの四つも消えていき、最後に魔文字そのものが消滅した。 (個人の魔力認証と解除コードの二重ロック……随分と厳重だな) 「入りたまえ」 促され、二人は中に入った。 空気が一変する。ピリピリとした、剣を向けあっているかのような張り詰めたなにかがこの部屋には渦巻いている。 電灯はなく、月の光が窓から差し込む室内。さほど大きくはなく、あるのは円卓だけだ。椅子の数は豪勢なものが一つと、他が五つ。男と女が一人ずつ座り、ゼル達を待ち受けていた。 この国の魔導士達の憧れの場所。そして、今から自分が座る椅子。 「では簡潔ではあるが、改めてこの場において宣言しようか」 英雄にしてギルドの長となった男は豪勢な方の椅子に腰を下ろし、厳かに告げる。 「ゼル=トゥグム並びにシュゼイン=ファウル。君達を、『五星剣(ペンタグラム)』の第四位と第五位に任命する。その力をこの国のために役立ててくれ」
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