招待状

2/5
965人が本棚に入れています
本棚に追加
/493ページ
      ●  ○  ● チャイム代わりの鐘の音が、学舎に鳴り響き、ワタルは走らせていた鉛筆を置いた。 「はーい。では回収なのですよ~」 見た目十歳前後のロリ教師であるサーシャが指を鳴らすと、教室内に風が吹いた。生徒全員の机におかれた用紙が舞い上がり、教卓の上に積み重なっていく。 「ま、待ってください! あと十秒で書き終わるんすよ!」 「ダーメです。時間は時間なのですよ」 前の席でレウスが悲鳴を上げるも虚しく、答案はサーシャの手に渡った。全員分を回収し終えた魔法基礎学担当は、教卓に立つと天真爛漫な笑みを浮かべていう。 「それでは、これで期末試験は終わりなのですっ。今日は皆さん、ゆっくりと羽を休めてくださいね」 積み上がった答案を転送魔法で消し去り、サーシャは教室から出ていった。途端に騒がしくなるクラスメイト。 「ん~。やった終わった」 「お疲れ様です。調子はいかがですか?」 「とりあえず赤点は免れそうだな。ラーサーは?」 「まあまあ、といったところでしょうかね」 「そういう奴に限って出来てるもんだぜ」 隣に座るラーサーと笑いあう。解放感に突き動かされるまま、ワタルは大きく伸びをした。
/493ページ

最初のコメントを投稿しよう!