SUMMER SCHOOL DAYS

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授業を受ける五十人の生徒達は、 「「「う…………」」」 ダウンしていた。 「って、何ですかその授業態度はー!!」 教壇の上から大声を飛ばすが、返ってくるのは呻き声だけである。ある生徒は机に突っ伏し、またある生徒は下敷きで必死に胸元に風を送っていた。 生徒がそんな状態になっている理由はいたって単純。暑いのだ。 今は六月最後の週。この日は今まででぶっちぎって暑く、しかも時間的に一番気温が上がる昼休み後の授業。更に無風なため窓を開けたところで入ってくるのは灼熱の日射しだけ。止めとばかりに氷属性の魔晶石を使った冷房も故障中だ。 昼食後で眠く、寝ようとしても暑くて寝られない。暑さと眠気のダブルパンチで、授業など殆ど頭に入ってこないのだ。生徒達はさながら、砂漠のど真ん中で水分を失って倒れている旅人だろう。 「もー、皆さんの気持ちもわかりますけど、暑いのは先生だって同じなんですっ。集中してくださいっ」 「そんなこと言われても無理ですよー」 最前列に座る女子生徒、ノエル=カーレンスが言った。机に身を預けて、やる気がないことを全身で表現している。
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