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しばらく教室の有り様を見たサーシャは、やがて深く嘆息して、
「……分かりました。今回は早めに終わりにするのです。次の授業は戦闘学ですから、熱中症には注意してくださいね」
そう告げてサーシャは教室を出て行った。ようやく復活した生徒達は、真っ先に水筒に手を付けて冷たい水を飲みほしている。
黒髪と黒眼を持つ、ワタル=ディフォートもその一人である。窓際の席の彼は、太陽から降り注ぐ滅殺熱線を直接受けて体力を大幅に削られていた。疲れきった声で、ワタルは前に座る友人に声をかける。
「大丈夫かレウス?」
「…………」
返事がない。ただの屍のようだ。特徴のある灰色のツンツン頭も萎れている。
「今日はまた随分と暑いですね」
右隣から声をかけられた。ワタルが親しくしているクラスメイトの一人であり、エルフであるラーサー=ファウルだ。ワタルと同じく汗をかいているが、それすらも彼の整った容姿と爽やかな雰囲気を引き立てるオプションとなっていた。
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