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「相変わらず阿呆じゃのォ」
「……阿呆で悪かったな」
「そんならおまん、緒方先生に何の用があるかも知らんじゃろうな」
「うん。知らん。」
……後藤が言うにはこうだった。
ここ一ヶ月前から、大殿様の娘である八重子(やえこ)様が体調を崩された。
初めは城の者皆、単なる風邪と思っていたがどうやら違うらしい。
土佐中の医者をかき集め、診てもらうも原因はわからない。様々な薬を試してみるも、全く聞く様子は無く、そればかりか八重子様の病代は悪くなる一方。
どうすれば良いのか。このままでは八重子は死んでしまうのでないか……。
大殿様は悩まれた。
悩んだ末、大殿様にはある人物が思い浮かんだ。
名は緒方洪庵。洪庵の父は大殿様の友人であった。
緒方殿の息子の腕は素晴らしいと聞く。きっと娘の病を直してくれるに違いない。
そう考えた大殿様は、自分と滝を使者として京へ送り出したのだ。
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