参.緒方の屋敷へ

2/6
前へ
/24ページ
次へ
夕日が眩しくなってきた。 もうすぐ日が暮れそうだ。 町の人々は家へと帰ってゆく。 旅の者たちなどは、この朱色一色に染まった京の町並を 美しい、とうっとりして眺めている。 さて、この男二人も旅の者であるが、この急ぎ用、どうやら夕日を眺める余裕もなさそうである。 「はぁ…はぁ……」 あの茶屋からどのくらい走っただろうか。 滝の息は既に上がっている。 こんなに遠いなんて、聞いてない。 こんなことなら、あんな勢い良く飛び出すんじゃなかったー… そう思うが口には出せない。 きっと、かれこれ一時間以上は走っている。 後藤を方を見れば、奴、呼吸ひとつ乱すことなく無言のまま走り続けている。 何であんなに走れることやら。。 体力は限界に近いが、なんせ後藤が走るのだ、自分も走るっきゃない。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加