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このまま抱きしめていて アユに風邪をひかれたら困る。
主に、オレの理性が困る。
泣き濡れたアユを宥め なんとかオレのシャツを着せた。
アユをソファーに座らせ オレも濡れた服を着替えてから アユを膝の上に乗せ抱きしめる。
新しいタオルでアユの顔と髪を拭く。
丁寧に 傷つけないように。
オレのシャツだけを着ているアユ。
その恥じらう姿に愛しさが止まらない。
オレの理性が飛ぼうとしたとき アユが話し出した。
助かった。
アユは、自分自身のことが解らないと言った。
今まで何をしていたのか。
家族や友だちが居たのかも 自分の年齢さえも、何も解らないと泣いた。
ただ 解っているのがオレが大好きだと……。
何故だか解らないのに 愛していると言った。
静かに聞いていないとダメなのに オレの手がアユに触れて居たいと動いてしまう。
アユの赤くなった顔も 涙で濡れた顔も愛しい。
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