眩しすぎる光

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「なぁ。コイツ、どうやって料理してやる?」 暗闇の中に聞こえる男達の声で意識を取り戻し、ゆっくりと目蓋を開く。 頭に痛みは走るものの、耐えられるぐらいの程度だった。 何度も瞬きをしているうち、徐々に視界が鮮明になる。 眩い白熱灯に目を細め、目が慣れると周りを見渡す。 何処かの倉庫らしく、隅には段ボールや木箱が積まれていた。 カビ臭い匂いが鼻を突き、息を止めたくなった。 目の前には数人の男達がゲラゲラと、下品な笑い方で談話していた。 すると、こちら側を向いていた男がリントの覚醒に気が付く。 「お! 漸くお目覚めか?」 見渡すと、どれも見覚えのある顔だった。 昼間、リントを追い掛けて来た男。 昨日、肩がぶつかっただけで突っ掛かってきた男。 リントと絡んだ事のある男ばかりだった。 「テメェら、仲間だったのか…」 「お前も知ってんだろ? この街の大半は、俺らの領地だって」 手前に居た男がポケットに手を突っ込んだまま、此方(コチラ)に近付いてくる。 リントは何かされる前に、どうにかせねばと身体を捩(ヨジ)る。 だが、腕が背面に回され、おまけに布できつく縛られている。 その間にも男が目の前に迫り、リントが男の影に覆われる。 「っ…、来るな…!」 剛毛の生えた手がリントの顎を捕らえ、嫌らしい目付きでまじまじと見つめる。 「よく見ると、なかなか整った顔してんじゃねぇか。遊び甲斐がありそうだ」 男が服を掴もうとすると、リントは動かせる足で手を払い退ける。 苦虫を噛み潰したような顔をすると、残りの男達が近寄り、リントを囲む。 手を動かせず、碌(ロク)に動けない。 鋭い目で睨み付ける事だけが、今リントに出来る必死の抵抗だった。 だが、男達から見れば、今のリントは囚われのネズミだ。 睨み付ける目など、何の抵抗にもならなかった。 「そんなにお望みなら、今遊んでやるよ!」 男達の手が、一斉にリントに迫った。
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