隠された素顔

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それを見たフェイリルは、クスクスと含み笑いをする。 「空腹なんですね。今、何か作ります」 「ぁ…、冷蔵庫、何も…」 「じゃあ、買ってきます。少しお待ち下さい」 そう言うと、フェイリルはマントを羽織って出ていった。 一人残されたリントは、どうしていいのか分からず、呆然と佇む。 そして。 「帰ってくんな!!」 音を立てて扉を閉めると、ズカズカとベッドへ向かい、頭まで毛布を被って横たわる。 初対面なのに、何故こんなにくっつかれなければいけないのか。 過去の記憶が無いとは言え、ストリートチルドレン達以外の者と、こんなに関わった事は無かった。 違和感だらけの心。 人と関わると、こんな気持ちになるのだろうか。 今まで一人で、自分だけの力で生きてきた。 一人で何でもやってきた。 頼れるのは自分だけ。 自分を守るのは自分だけ。 助けなど要らない。 だから、早くあのフェイリルという剣士から離れなければ。 リントは直ぐ様 起き上がり、靴を履いて扉を開ける。 「只今戻りました」 「………」 扉の向こうには、食材を買って戻ってきたフェイリルが、笑顔で立っていた。 「僕の帰りを察知して出迎えて下さるなんて。流石リント様です」 「戻って来るの早くね!?」 「直ぐ近くの市場で調達して来ました。あまり食べられていないようなので、栄養のある物を買ってきました。今、支度しますね」 フェイリルはマントを脱ぎ、食材が入った袋をテーブルに置くと、棚に収納されている鍋や俎板(マナイタ)を出し、調理を始める。 「あ…、おい!」 「出来たらお呼びします。ゆっくりしていて下さい」 「あ、あのなぁ…。いいか? それ作ったら出ていけ。テメェに守られる筋合いは無いからな」 「………」 「聞いてんのか!?」 「ええ、聞いてます。ですが、その命令は聞き入れられません。でなければ、誰が貴方を守るのですか?」 「だから、守られる筋合いは無い!! 何でそこまで俺に執着するんだ!?」 するとフェイリルは手を止め、リントの方を振り向く。
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