隠された素顔

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食事を終え、フェイリルは食器の片付けに、リントはベッドに横たわって天井を仰いでいた。 隣の部屋からは、食器がぶつかり合う音がする。 昨日までは自分がやっていたので、何もしないで音がするのは違和感があった。 身体を半転し、棚側に向くと、壁にフェイリルの剣が立て掛けてあった。 紺色の鞘に納まった、銀の装飾が施された長剣。 この国では見た事がない装飾で、不釣り合いだ。 少し興味を抱いたリントは、ベッドから起き上がり、剣を間近で見る。 「剣に、興味がおありですか?」 「いや…。ただ、変わった装飾だから」 「その剣は、僕の国に伝わる剣なんです。主に城の騎士団が使用する物で、父から譲り受けました」 フェイリルは剣を鞘から抜き、リントに柄を差し出す。 「持ってみますか?」 「親の大切な物じゃねぇのかよ」 「今は僕の物です」 リントは少し躊躇うが、折角だからと言わんばかりに柄を握る。 フェイリルが手を離すと、ズシリとした重みが腕を駆け抜ける。 「重っ…! お前、よくこんなの…!」 「慣れれば楽ですよ」 リントはフェイリルに剣を返し、重さで痺れた腕を振る。 フェイリルは剣を鞘に納め、壁に立て掛ける。 「さて、リント様。今から何をなさいますか?」 「何って、今から用事が…」 「では、お供します。今、支度しますね」 そう言うと、フェイリルは外していた装甲を着け始める。 「な…、お供とか要らねぇっつーの!! だから、飯作って、片付けたら出てけって…!」 「お断りします」 笑顔で断られ、リントは深い溜め息を吐いた。
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