君との約束

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「待ちなさい!! 必ず捕らえるのです!!」 女性はリントを何としてでも捕まえるつもりだ。 だが、当の本人はそれを拒んでいる。 城に帰る事に怯えるリント。 フェイリルは、この国を出た経験は無いが、風の噂では相続権争いが激しく、常に内戦寸前の国が隣にあるという事は知っていた。 その渦中に巻き込まれそうになっている人物が、今手を繋いで一緒に逃げている。 彼は純粋に1人の人として生きたいだけで、だから帰る事を嫌がっている。 王子という事を除けば、自分と同年代の少年だ。 一緒に遊んで、一緒に笑い合った。 独り身で寂しい思いをしていたフェイリルにとって、それは心から救われていたのだ。 「フェイリル、何処に逃げるんだ!?」 「とりあえず、人が多い所に行こう! 兵士達を撒けるかもしれない!」 フェイリルは角を曲がり、先に見える大通りを目指す。 その先には、人々が行き交う姿が見える。 逃げれるチャンスが目前に迫ってきた。 その時、リントが突如として足を止める。 「リントくん…!?」 「駄目だ…。これ以上、お前を巻き込むワケにはいかない…! 俺、城に戻って我慢するから!」 「でも、城には戻りたく無いんでしょ?」 「そうだけど…。でも、俺の為に他人を巻き込むなんて事したくないんだ!」 「…リントくん。本当の気持ちを教えて? リントくんはどうしたいの?」 「………。」 「やりたい事があるなら、今がチャンスだと思うんだ。自分のやりたい事は自分にしか出来ない。死んだ父さんが言ってた。人生は、自分で決めるものだって」 フェイリルの言葉に、リントは口をキュッと閉じ、服の裾を握る。 「…俺、色んな世界を見てみたい。世界が何れだけ広いのか、どんなのが有るのかを知りたい」 「じゃあ、僕と一緒に見に行こう? 辛い事もあるかもしれないけど、リントくんとなら、やっていける気がするよ」 「うん…!」 目に涙を溜め、今にも泣き出しそうな顔を浮かべた時だった。 ドンっ!!! 轟音のような銃声が、辺りに響き渡った。
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