過去を知る者

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「大丈夫ですか? リント様」 顔が悪いまま目を覚ましたリントは、身体が怠(ダル)いのか、ベッドから起き上がれずにいた。 一足先に起床し、朝食の支度をしていたフェイリルは手を止め、リントの額に手を当てて熱の有無を診ていた。 「熱は無いようですね」 「変な夢見ただけだから…」 夢にしてはリアルだった。 胸倉を掴まれる感覚も、ナイフで刺された感覚も…。 「今日は出掛けられない方がいいでしょう。消化の良い物を作りますね」 「悪ぃ…」 フェイリルはエプロンを付け、キッチンで料理を始める。 リントは仰向けになり、天井をボンヤリと見つめる。 脳裏に焼き付いた光景。 憎しみを自分に向け、殺そうとしてきたあの人物は誰だったのか。 疑問が残ったままで覚醒してしまい、結局何者だったのかが分からない。 何も分からぬまま、リントは目を閉じ、再び眠る事にした。
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