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食事を終えたリントとフェイリルは、支度をして街を歩いていた。
時間のかからない用事の為、外出する事にしたが、途中で何かあってはと思ってか、フェイリルも付き添う事にした。
「別に付いて来なくても…」
「体調が優れないのに、途中で何かあってからでは遅いので」
「はぁ…」
本当は1人で行きたい。
だが先日、その行動でフェイリルがとんでもない事を仕出かしていた。
無関係の他人を巻き込む訳にはいかず、リントはフェイリルと共に行動する事を選んだ。
「それより、リント様が行かれる所と言うのは?」
「ストリートチルドレン達が寝泊まりしてる所だ。幼い子供が多くて、自分で食料調達できない子もいるから…」
ふと背後にいるフェイリルに目を向ける。
すると彼は目に涙を浮かべ、今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
「って、おい!! 何また泣きそうになってんだよ!?」
「いえ…。リント様は、本当にお優しい方だと思い、つい…」
「大袈裟な奴…」
優しいと言われて恥ずかしかったのか、リントは無意識に頬を赤くしていた。
記憶を失ってから、誰かにこうして褒められる事が無かった。
だから尚更こういう言葉を掛けられると、恥ずかしく思えてしまう。
「ホラ、早く涙拭けって! もうじき着くんだから!」
「はい…! すみません…」
フェイリルは涙を拭い、リントの後を付いていった。
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