眩しすぎる光

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「何とか撒いたか…」 少年は軽々と壁を乗り越え、その先にある段ボールで出来たハウスが並ぶ区域に向かう。 すると少年が来た事に気付いた子供達が、次々と段ボールハウスから出てくる。 「リントー!」 「また掻っ払ってきたぞ。仲良く分けて食えよ」 袋を渡すと、子供達は布切れの上にお菓子を広げ、どれを貰おうか楽しそうに選ぶ。 「ありがとう、リント!」 「いいって。ホラ、早く選ばないと、いいのが取れないぞ」 子供達が笑顔で楽しそうにしている傍ら、リントは笑みすら溢さず、ただ子供達を見守る。 お菓子を配ってやれるのは、ほんの一部だけ。 この国には、何人ものストリートチルドレンがいる。 食べ物に恵まれない子供達がおり、それを思うと、表情には出ないものの、リントの胸が痛む。 「ありがとう、リント。またいつか、お礼するね」 「礼なんていい。お前らが元気でいれば、それでいい」 そう言うと、リントは踵を返し、子供達と別れた。
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