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「やっぱ、この町にいるんだよ!!」
川口も例外ではない。
マジでいんのかよ。
流されまいとしていた裕太も少なからず探偵になりたがった。
「川口、俺さ、今朝、やな夢見たんだけど、」
んなのどうだっていい、口を開きかけた川口より素早く裕太は続けた。
「連続殺人鬼って、体の一部もって帰るだろ?」
前二件の事件は死体の腕と足が見つかってないと、夜中のラジオで聞いた。それは確かな情報のようで川口はうなずく。
「俺さ、ここんところ毎日体のどっか持っていかれる夢を見るんだ。」
「夢、だろ?」
「マジでリアルなんだって!!」
学校帰りの道であいつはいつもの待っている。裕太がその影に気づいて逃げ出すと、後ろから刃物を持って追いかけてくる。上がる呼吸、汗が落ち、転べば膝が擦りむける。髪を掴まれ、逃げ出せなくなると、そいつは口だけで笑って、
「今日は右足」
「ひょえっ」
右足を押さえる川口はそれでも夢なんだからと歯を見せる。
「正夢にならないといいな」
「怖いこと言うなよ」
いつもと違う朝の始まりに同じようにチャイムは鳴った。
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