始まりはいつでも唐突に

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夜。 僕は音無先輩にメールをした。 件名:今日の事 本文:今日言ってた事ってなんだったんですか? 知りたいです 送信。 返事は10分経って返って来た。 本文: とりあえず手順を送る。 これを実行して、寝てくれ 手順は次のメールでな 「………手順?」 そう言った途端にメールが来た。 本文: この内容は保存しといてくれ。 横になって、天井を向いてくれ。 そんで、目を閉じる。電気は消しといてくれ。 で、自分が何処か身近な場所にいるのを想像するんだ。なるべく細かく思い浮かべてくれ。 以上。 あ、これは寝る前にやってくれよな。 「想像………か。」 とりあえず、このメールを保護して、風呂に入った。 風呂の中でも、やっぱり言っていた事が気になった。 ―――――――――――――― 「俺も今夜行くよ」 「今夜待ってるよ」 「楽しいゲームを今夜するから」 ―――――――――――――― ……………今夜か。 何があるんだろう。 風呂から上がって、ベッドに倒れ込んでも、頭から「それ」は離れなかった。 ―――僕はふと、寝てしまった。疲れてたのかもしれない。 ただ、頭の中でゆっくりと、場所のイメージをしていた。点字ブロックの配置からパンフレットの配置場所まで事細かに、とある場所の配置を全て頭の地図に書き込んだ。 そして、キーィィンと言う微かに響く音が聞こえた途端、僕の意識はかき消えてしまった。
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