プロローグ

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辛い辛い辛い 自転車を必死にこいで坂を上る なかなか登りきれないだらだらとした長い時間 息を切らしていることを実感する暇もなくひたすら足を動かす もう高校に入って2ヶ月が経つ だというのに自転車通学というのは辛いもので必ず通らなければならないこの長い上り坂は、容赦なく私の体力を奪っていく 他に道があるのならば是非そちらを通りたいものだが生憎そんな優しい道などどこにもないのだ しかも今は6月半ば じめじめとした空気が妙に重い 汗もいやらしいほどべったりとはり付く 今朝の髪の毛は特にひどかった そんなことを思いながらいつの間にか坂の終点についた 死ぬかと思いながら坂を上りきった私は片手で汗を軽く拭いすぐそこにある学校までまた足を動かした そうだコンビニでジュースでも買おう 時間はある。お金もまあジュース代なら余裕である。 どのジュースにこの渇いた喉を潤させてやろうか そんなふうに考えながらまた私の今日が始まるのだ 佐ノ木織菜(さのきおりな)の不運な毎日が
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