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いや…なれないのだ
私には他人よりも運がないことを自覚している
くじ運とかそういったものだけではなく、電車に乗り遅れたり小学生の落とし穴に入ったり
酷い時は交通事故に巻き込まれたことすらあった
命があることが不思議なくらいだ
というわけで実際、希望などこれっぽっちもない
ごめん百乃
多少の罪悪感と自己嫌悪の混じったため息を吐きながらそっとくじを開く
一番前の角
真ん中を避けることはできたがどちらにせよ一番前
いろいろ面倒な位置
肝心なのは周囲だ
隣と後ろと斜め後ろ
百乃が一番いいがこの際
話せる奴か頭いい奴、それも無理ならせめて変なやつ以外で…
新しい席の番号が書かれた黒板を凝視しながら私は祈り続けた
絶対に来ないであろう私の運がめぐってくるのを
「よっす!」
ふいに背中をはたかれ、一瞬で私の怒りは最大になった
いったい誰だ叩いた奴は
怒鳴りつけて膝蹴りしてやろうじゃないか
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