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「局長 華月 桜夜を連れて参りました。」
近藤の部屋の前で 山崎は静かに声をかけた。
「入れ」
部屋の中から 近藤の声がする。
襖をゆっくりと開け
中に入る山崎に続き 「失礼致します」と挨拶をしてから 桜夜も部屋に入った。
部屋には、山南と土方も居た。
二人にも 軽く会釈をすると山崎の後ろに控える桜夜。
「ほぉ~」
桜夜の所作の美しさに 近藤の口から思わず感嘆のため息が漏れる。
佐々木の紹介と聞いて相応の家柄の子息だとは思ってはいたが、桜夜の身のこなしはまさに 旗本のソレであった。
山崎が、上申書を近藤に渡しながら
簡単に桜夜の素性を説明する。
その間も 桜夜は両手を付き頭を下げていた。
「桜夜君 頭をあげたまえ。
ここは、出生や身分は一切問わない。
お国の為に 尽力する武士の集まりだ。
そう 畏まられては こちらも 恐縮してしまうからね。」
近藤の言葉に 桜夜はゆっくりと頭をあげた。
「恐悦至極に存じます」
「見目によらず、なかなか しっかりしたご仁のようですね。」
近藤の隣で、黙って桜夜を見ていた山南が口を開く。
「華月殿は、どちらの藩の出身ですか?」
藩?
そんな事を聞かれるとは思ってもいなかった桜夜は パニクる💦
「彼は…」
「山崎君 私は、華月殿にお聞きしているのですが」
山崎が答えようとした言葉を遮り
山南は静かな口調で山崎を咎めた。
「はい。私は 信州 松城藩の藩士でありましたが、訳あって 佐々木殿を頼り 京まで参りました」
これで 良かったんだよね?
以前、佐々木から 藩名を訊ねられる事があったら そう答える様に言われていたのを思い出した桜夜は、教えられた通りに答えた。
「差し支え無ければ その訳を聞かせて頂けませんか?」
山南の追求は更に続く…
ふぇぇ~ん(;_;)
訳あって…
その訳アリ 私の方が知りたいです。
「まぁまぁ…山南さんも その辺はあまり追求しなくても 良いではないですか。 誰しも、聞かれたくない事の一つ二つあるものだ」
近藤の言葉に
《Good job 近藤っ》なんて、思いながらも 静かに頭を下げる桜夜だった。
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