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「触れるな」
凛とした低温の声が響く。
「へえ…死に損ないがなに出てきてんの」
綺麗な男の子が冷たい表情で笑いながら剣を手に持ち、距離を少しとる。後ろにいた集団も警戒したように次々とどこからか剣を出していく。 突然現れたその人は私の方を振り向く。黒色の軍服みたいな服装に、漆黒の髪。その中で輝いている真紅の双眼と目が合う。 「玄関にいた女は部屋で安静にしている。ここは俺が食い止めておくから、お前の後ろにいる子供達を安全な場所に連れて行け」
「あ、あの…」
いきなり色々言われて頭がこんがらがっていく。
「早く」
その声に促され自然に体が動く。
「みんな、私についてきて!手つないでね?」
子供たちは声を揃えて「うんっ!」と叫び、私の手や服を掴んでついてきた。
背後から金属音が絶え間なく聞こえてくる。
何が起こってるのか全然分からない。けど、危ない状況だということは身をもって知った。
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