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屋敷の中央にある小さいテーブルを挟んだソファにファクトさんと向かいあって座る。
「…まず、初めに。俺は天使だ。」
「っ…!」
孤児院を襲ってきた人達を思いだし、思わず後ずさる。
「だが、決してお前を襲ってきた奴らとは仲間ではない。それはこれからも変わらない」
私の不安をかき消すように凛と真っ直ぐに私の目を見て言ってくれた。
「それと天使は天使でも元で今は堕天使だ」
「だてんし…?」
「悪魔に堕とされたんだ。まぁ、その経緯はおいおい話すとして…」
ファクトがぐっと体を近づける。
「さっき俺とお前を襲った奴らは仲間ではないと言ったが、共通点がある」
「共通点…?」
ファクトさんは軽く頷くとまた真っ直ぐに私を見た。
「お前を見つけ出すことだ」
「なっ!?わ、私ですか?」
なんでという気持ちが頭の中でたくさん回転する。そもそも目の前に天使と名乗る人がいる時点でおかしいのかもしれない。
その時、あの綺麗な男の子の天使の言葉が蘇った。
『君が今日、16歳になった子?』
あの場には私しか16歳になっていない。つまり…
――――“私”を探している。
「私は……なんなんですか?」
声が自然と震える。
天使の人達が来たのも、孤児院がめちゃくちゃにされたのも、ファクトさんが来たのも…
“私”が原因。
「お前は…」
「天使と人との間に生まれた成功例だ」
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