16歳

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今日で私は孤児院に来て16年目、つまり16歳になる。 物心ついた時からここ、『天羽孤児院』にいた。院長先生いわく、門の外に揺りかごがありその中に産まれたての私がいたらしい。 「本当におめでとう、凛華ちゃん」 声のした方を振り向くといつもと変わらない優しい笑みを浮かべた院長先生がいた。 親という存在を知らない私に唯一『愛情』というものを与えてくれた人と言っても過言ではない人。 「みんなこんな寒い中材料とか準備とか大変でしたよね?本当にありがとうございます。」               窓の外にチラチラと降っている粉雪を見る。               「平気よ~、みんな凛華ちゃん大好きだから。主役さしおいてケーキ食べてるけど」 苦笑しながら院長先生が見た方向には確かに『凛華ちゃんはへ』とかかれていたはずのケーキが半分以上なくなっていた。         すごい食べっぷりでその光景に思わずくすっと笑ってしまう。         「いいですよ。今日のために頑張ってくれたみんなへのご褒美です」
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