16歳

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院長先生は私の顔をじっと見るなり「はぁ…」とため息をつく。               顔に何かついているのかと思って自分の顔をぺたぺた触ってみるが、院長先生変わらず。そして、沈黙が流れた後              「凛華ちゃん、あなた本当に綺麗になったわね…」 院長先生の突然の衝撃発言に口に含んでいたジュースを「ブーッ!」と吹き出しそうになった。 「い、院長先生、いきなり、何を…」 咳き込みながら院長先生に尋ねる。 「いや、本当に大人になったなぁ~と思って…そのネックレスも似合ってきたわ」 院長先生が指差した胸元にあるネックレスに少し触れてみた。 このネックレスは私が入っていた揺りかごの中に一緒に入っていたらしく、紐の長さ、古さから見て多分親の物だと思う。ちなみにペンダント部分は修飾の凝った鍵の形をしている。 「今頃、凛華ちゃんのご両親もきっと凛華ちゃんのことを祝福しているわ」 「…はい」 その時、大広間に玄関のチャイムの音が鳴り響いた。 「あら?こんな遅くに誰かしら…?」 院長先生が不思議そうな表情を浮かべて、玄関に向かった。 しばらくして、院長先生と誰かの会話が小さく聞こえてくる。と思ったら、急に その会話が途切れた。 胸がざわっと騒いだ瞬間、声が聞こえた。 「すっいませ~ん!ここに16歳になった女いますかぁ?」
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