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めんどくさそうな声が響き渡ったその瞬間、白い服を身にまとった男の人達が沢山入ってきた。
「!?いきなりなんですか!!」
驚いて目を見開いた状態のままの子供達に駆け寄り、自分の背後に回す。
よく見てみると男の人達の服装が現代ではあまりみないような服装。いうならば、漫画とかそういうので出てきそうな。そして背中にはこれまた漫画とかで天使が描写されているときにその天使の背中に生えている翼とそっくりな形をしている。けれどその翼は白鳥の羽根のように純白だった。
おかしい…なんでこんな人達が…夢?
そう思っていたけれど、男の人達のするどい視線が一斉に向けられていて、夢じゃないと実感させられる。
すると、その集団の先頭にいた小柄な男の人が近づいてきた。よく見ると年が一緒くらいの男の子だった。
「君が今日、16歳になった子?」
目の前で男の子が首を傾げながら床に座り込んでいる私を見下ろす形でそう問われる。
何か答えようと口を動かしたけれど、声が出ない。
「あれ?喋れないの?」
「困ったけどまぁ、いいや」と言いながら、屈んで私と同じ目線になる。
「提案なんだけどさ、一緒に『Eden』に来てくんない?」
「『Eden』…?」
聞いたことのない言葉に戸惑ってしまう。
「ん、そう。で、一緒に来てくれたらドアの前に倒れてる女助けてあげるよ」
「!院長先生…!!」
さっきの会話の途切れ方に感じた嫌な予感が的中してしまい玄関に向かって走る。と思ったけれど、目の前に何かが立ち塞がった。
「俺、話してる最中なんだけど」
冷たい声音が聞こえて、目の前にあるものが鋭い、剣のようなものだと気づいた。
「さっ、早く行こ」
男の子の手が伸びてくる。後ろにいる子供達が私の前に出てきてくれたけれど、おかまいなしでのびてくる。
誰か…助けて…っ!
その時、鋭い風がふき、思わず目をとじる。
そっと目を開けると… 眼前に黒い、真っ黒な翼が見えた。
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