#01 “偽装彼女”の彼

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“憧れ”─とは。 時に、均衡を破壊する。 「──お願い、またついてきて?」 これは、アイツの常套句になっている。 「─────また?今度は何処だよ。」 部活終了後。 土曜日の一日練習を終え、各務李織[カガミイオリ]は部室の一角にあるロッカールームで着替えながら、うんざりとした態度で友人──御坂成耶[ミサカナルヤ]の方を向く。 この常套句は最早何度目だ、というもの。 断るのも面倒になった今や、どうでもいいという感覚の方が勝ってくる。 御坂は御坂で、断られなかったことでにやり、と笑うと、各務より少し遅れてユニフォームを脱ぎ始めた。 「それがさー、そろそろ夏に入るだろ?今の服だと暑苦しいっていうか。 そんで、明日はたまたま部活ねえし。一日使ってゆっくり選びたいわけ。 そこで邪魔に入られたら嫌だろ?」 「............。」 「あ、ちょうどいいからお前にもなんか買ってやるし、な?」 「..................あっそ。」 はぁぁ、と溜め息をつきつつ、制服のネクタイを閉める。 衣替えがまだなので、ネクタイはまだ外せない。 さっさと荷物も纏めて指定のスポーツバッグを抱える。 「!......あ!ちょ、はやいよっ李織!」 「お前が遅いんだろ、早くしろよ。」 「ひど!俺はマネの娘に絡まれて仕方なく......」 「.........わかったわかった外で待ってるから。」 出入り口に居ては迷惑になるのでとりあえず外に出る。 冬と違い、中も外も同じような温度だ。 それから程無くして、御坂は部室から現れた。 ++++ 御坂にとって。 俺は、友人であり、そして────── 偽装彼女、だ。
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