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偽装彼女なんて。
こんな変態的な立場、何も好き好んで俺が居る訳ではない。決して。
大方、御坂の所存なのだ。
御坂はモテる。物凄く。
それはそれは、校内1、2を争う程に。
それはそうだろう。
スポーツ万能で、顔もよし、スタイルよし、気さくで性格もよしとくれば女子が黙っちゃいない。
只、───勉強は少し出来ないようだけれど。
特別頭が悪いわけではないが。
まぁ、成績なんてそこまで気にならないもので。
常にアイツは女子に声をかけられている。
それは、校内に留まらず。
町中でもそうだ。
逆ナンの数など俺が見た中でも数え切れない。
モデルのスカウトだって然り。
そりゃそうだ。
高校生のクセに180㎝の長身がありゃそら年齢層問わずに女がくるわな。
流石にどうしようもない。
町に出るたび誰かに引っ掛かり自由に動き回れない御坂はハッキリ言って憐れだ。
モテすぎるのも如何なものかと。
『あーもー、ゆっくり外を歩きてぇよ。』
大分参っているのか。
俺の家でゲームをしに来た時、奴がぽろ、と不満を溢した。
一見、モテる奴の贅沢極まりない悩みで、嫌味にもとれる言動だが、
表情を見ていれば流石に辛いというのが伝わってくる。
邪険に出来ない優しい性格が更に御坂を苦しめているようでもあった。
───だから。
だから、ついあんなことを言ってしまったのが事の始まりだったのだ。
『───あれだな、こうなりゃいっそ彼女が出来れば良いのに.....』
『!』
『そうすりゃ、一緒に歩けば流石に寄ってこないだろ......』
『それだ!!!』
今思えば俺はアホだ。
しかし、アイツもアイツ。
『───お前さ、俺の彼女になれよ!』
こんな言葉。
他に誰が友人に向けて言うかよ。フツー。
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