~#01.『現代世界』と『ロンリネンス』~

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(声が聞こえる…) 自分の名前を呼ばれているのだと、翼は気付いた。 「つ……!つ…さ!つばさ!」 しかし翼は、誰が自分を呼んでいるのかわからなった。 「つばさ!入学式に遅れちゃうよ!」 入学式という単語を聞いたとき、翼は飛び起きた。 「っ!今何時だ!?」 「珍しいね。つばさが寝坊なんて」 そう、翼はめったに寝坊しない。遅刻はする。 有り得ない…という顔をしている翼の隣には、少女がいた。 翼はその少女に起こされたため、感謝の意を述べた。 「感謝感激雨霰」 「なにそれ?感謝してるんだかわかんない」 少女の言葉にぐさっときたらしく、翼は眉をぴくりと動かした。 キレぎみに小声で「そうかい、そうかい」と言った。 「てか、奏。なんで家にいた?」 奏と呼ばれた少女は、突然の質問に戸惑った。 しかし、次の瞬間には平然を装いながら質問に答えた。 「それは、幼馴染みとして心配だったから!それと…」 奏はそこまで言うとうつむいた。 髪の間から覗く顔は、赤くなっていた。 「それと…!」 「おい、チャイムなったぞ。急げ」 「あ、うん…」
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