5人が本棚に入れています
本棚に追加
(声が聞こえる…)
自分の名前を呼ばれているのだと、翼は気付いた。
「つ……!つ…さ!つばさ!」
しかし翼は、誰が自分を呼んでいるのかわからなった。
「つばさ!入学式に遅れちゃうよ!」
入学式という単語を聞いたとき、翼は飛び起きた。
「っ!今何時だ!?」
「珍しいね。つばさが寝坊なんて」
そう、翼はめったに寝坊しない。遅刻はする。
有り得ない…という顔をしている翼の隣には、少女がいた。
翼はその少女に起こされたため、感謝の意を述べた。
「感謝感激雨霰」
「なにそれ?感謝してるんだかわかんない」
少女の言葉にぐさっときたらしく、翼は眉をぴくりと動かした。
キレぎみに小声で「そうかい、そうかい」と言った。
「てか、奏。なんで家にいた?」
奏と呼ばれた少女は、突然の質問に戸惑った。
しかし、次の瞬間には平然を装いながら質問に答えた。
「それは、幼馴染みとして心配だったから!それと…」
奏はそこまで言うとうつむいた。
髪の間から覗く顔は、赤くなっていた。
「それと…!」
「おい、チャイムなったぞ。急げ」
「あ、うん…」
最初のコメントを投稿しよう!